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鉄の黒さび

 代表的な黒さびは仙台や盛岡で作られる鉄びん(南部鉄びん)の黒皮(くろかわ)です。南部鉄びんは、仕上げ工程で「釜焼き」をします。釜焼きとは、炭火を使い、鉄びんを高温で蒸し焼きすることです。この時、黒色のさびが鉄びんの表面に形成されます。このさびを「黒皮」と呼んでいます。黒皮は鉄と酸素の化合物で、赤さびと異なり、水は含んでいません。黒皮はとてもしっかりしたさびで、鉄びんが、さびるのを防ぎます。

 「さびをもってさびを制する(さびを防ぐ)」と言う言葉がありますが、この意味は「良いさびを作って、さびるのを防ぐ」という意味です。南部鉄びんの黒皮は、しっかりもので、さびを防ぎます。

 地中に長い年月埋もれていた鉄は、多少黒色を帯びた褐色となります。

 黒さびは、硫黄と水素の化合物(硫化水素)を含んだ地中に埋もれた鉄にも発生します。この時の黒さびは、鉄と硫黄の化合物です。さびを防ぐ力は持っていません。水に触れて鉄が錆びる時、赤さびの下に、黒色のさびが形成されることがあります。

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南部鉄びんと黒さび




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発掘された古墳時代後期の鉄製のさびた鍔
(つば)